メカニズム、メカニズム

natureやcellやといった一流誌に投稿すると必ず言われるのが、この論文は何のメカニズムも明らかにしていない。現象だけ追ってもメカニズムが解明されなければ意味がない。云々。

本当にメカニズムが文字通りメカニズムと言う意味で、現象を説明するメカニズムが解明され、それが論文になるのはすばらしいことだが、残念ながら、そんな論文はほとんどないし、もしそんな論文が書ければ、ノーベル賞だって夢ではないかもしれない。

今、アシスタントプロフェッサーの候補者がずらずらとセミナーを毎日のように行っているのですが、今日、セミナーをした候補者はなんとnatureとscienceとcellに一報ずつ第一著者の論文を持っているという凄い人。
それなのにそれなのに、セミナーのつまらないこと。
こんなにいい論文をいっぱい持ってて、なんでこんなにつまらないんだろう?とセミナー中、ずっと考えていて、わかったことは、彼は忠実にnatureやcellが言うメカニズムと言うやつを解明しているわけです。何をしているかというと、タンパク質Aが働くことがわかっているので、そのAにくっつくBをとってきました。BはCとDにくっついて。。。。と、延々と何が何にくっつくか、そして、どれとどれがcomplexを作っているかというのを調べているわけです。

途中で、しびれを切らしたプロフェッサーの一人が、で、そのタンパク質は一体、何をしているの?で、それはどんな役割なの?という質問をしても、彼はそれはずっとやってるんですが、まだ何もわかってないとかそんな答え。

これってメカニズム?
どんなタンパク質が関わっているか、役者を全部取ってくるという仕事も大事だし、地道にどんな現象が細胞内で起こっているかということを調べる仕事も大事なわけです。どちらも大事で、優劣や貴賤はないはずなんです。でも、一流誌が彼らの言うところの”メカニズム”を印籠のように使うなら、みんなそんな仕事ばっかりするようになっちゃいますよね。今の私の分野がまさにそれ。みんな金太郎飴みたいなことをして、ちょっと毛色の変わったことをする変な奴(=私)には、でもね、メカニズムがないとお話しにならないんですよ、と言い放つ。

いや、グチです。。。
彼らの言うところのメカニズムという奴のデータをこれから出してやるぞ!!と思うわけですが、ちゃんと現象を追った仕事も誰かがしないと本当の意味でのメカニズムは解明できないと思うんですが。

そういえば、オリンピック関連のコラムかなんかで、本当に強い人は言い訳をしないとかなんとかそういうことが書いてありました。メカニズム、上等じゃないの、やってやろうじゃないの、と今のところ考えています。