死神の精度がしっくりこなかったもう一つの理由。

ネタバレになっちゃうので、お気をつけを。。。
絵門ゆうこさんという、がんと闘ってる、もしくは共存しようとしている方の日記(http://www.asunet.net/emon/y_nikki/nikki.htm)をたまに読む。
ご本人のバイタリティにいつも本当に驚かされるが、その日記の中で,たまたま、ドラマや本の中で、がん患者=もう死ぬ人という風に決めつけられるのがすごく嫌だみたいなことが書いてあった(うろ覚えです)。
アメリカなんかは肥満が原因の病気で死ぬ人が多いのであまりあてはまらないが、日本なんかでは人間はどんどん死ななくなってると思う。人間がちゃんと健康に気をつけて生きて、長生きするようになると、どうしても増えてしまうもの、それがガンだと思う。もちろん、喫煙と肺がんなどのように因果関係がはっきりしているものもあるが、ほとんどのガンは確率というか、みんないつも体に小さいガンを持っていて、普段はそれが育つ前にガンを殺してしまえるけど、たまたまとりこぼしてしまった時にガンになってしまう、そういうものだと思う。

死神の精度の中で、若い男の人が好きな女の人のためにみずから殺される、でも、彼は実はがん患者だったというお話がある。たまたま絵門さんの日記を読んだすぐぐらいにこれを読んだからというのもあるけど、やっぱり、この話はがん患者に対する冒涜のような気がする。本文中には胃がんということぐらいしかでてこないけど、多分、作者は予後の悪いスキルス性胃がん(草なぎくんのやつですね。)を想定してたと思うけど、それでも、治る人もいるし、共存できる人もいるし、医学もどんどん進歩してるし。少なくとも、病院に通ったり、何か治療をしてたりという描写があってしかるべきだし、自ら殺されに行ったけど、彼はもう未来のないガン患者だったからOKだったんですよ、みたいな終わり方はやっぱり違和感がある。

雪の中の洋館に閉じ込められるあのだらだらした話とこのガンの話。
うーん、伊坂幸太郎の他の本は面白いのかなあ?NYで日本の本を買うと定価の倍の値段がするので、多分、当分彼の本は買わないと思う。